4 病棟収益に直結する平均在院日数のしくみ 自信満々に語ってみたが…

 夕方、仕事もめどもついたので、奈須は医事課へ向かった。借りた本を読んで自信満々だったため、石崎が気付くのが早いか、奈須は平均在院日数の意味を語り始めた。

奈須:平均在院日数を短縮しなきゃならないのは、その方が入院期間に応じた加算が、より高い点数を算定できるためでしょ。入院期間に応じた加算がより高い点数を算定できるためでしょ。短くなれば、なるほど、450点を取っている人の割合が多くなるからだよね。

石崎:よく調べたね。半分正解だね。

奈須:ほかに何かあるの?

石崎:一般病棟入院基本料の算定には、平均在院日数の算定基準があるんだよ。表3)のように、看護7対1なら19日まで、看護10対1では21日までと、平均在院日数の上限が決まっている。病院として、この平均在院日数を超えると、看護体制を維持できなくなる。だから平均在院日数を短縮する努力が必要になるんだよ。

奈須:うちの病院は、看護10対1だから21日が限度。がんの患者さんなんかは、どうしても長くなるから厳しいね。

石崎:実は、平均在院日数の除外となる規定あるんだ。

奈須:部長さんもそんなこと言っていたわ。

石崎:90日以上入院している患者については、表4)の状態であれば、平均在院日数の計算から除外することができるんだ。(現在は変更あり)

奈須:そうすると、抗がん剤などの治療を行っていれば、長期になってもいいということね。結構、患者のことを考えているのね。でも、入院期間に応じた14日までの加算(表2、)なんかは、取れないから病院にとっては、厳しくなるのね。

石崎:いいところに気づいたね。短期間の入院では、14日以内だと450点が算定できるから、病院の収入を考えると、ほかの医療機関に転院してもらう方が数字の上では、得なんだ。450点を1カ月に換算すると1床で13,500点で1点10円だから、1床で135,000円の収入になる。90日以上の患者では、これが算定できないから収入は減ってしまう。ただし、これは収入上の理想であって、医療は数字通りにはいかないから経営が難しいんだよね。

奈須:いつも事務部長が平均在院日数を何とかしようと会議で言っていたのは、こういう収入に直結しているからだったのね。

石崎:事務部門の人間が医師や看護師を突っついて、現場からフィードバックがあることで、いい綱引きができているんだよ。この緊張があるから、平均在院日数の短縮と医療の質との間で、適度なバランスが保たれるんだと思う。

奈須:どっちかが強いと怖いね。医師や看護師が、もう少し患者さんの様子見たいと言っていると、簡単に入院日数が30日を超えてしまう患者さんが増えるし、事務が強くて平均在院日数を減らすことばかりを優先すると、再入院してくる患者さんが増えるのかもね。

石崎:今日は、遅くなったから、また、来週にでも教えるよ。

奈須:石崎先生ありがとうございました。

石崎:ふざけるなよ。先生は、やめてくれよ。!!